私の本棚のなかに「あなたに褒められたくて」という題名の本がある。
集英社から、1991年6月10日発行された本である。
今から23年前です。そうです!「高倉 健さん」の本なのです。


平成26年11月10日、83歳の「若さ」で亡くなられた「高倉 健さん」。
僕の永遠の「ヒーロー」であった。
思い出をいっぱい頂いた。それは1965年「網走番外地」で始まった。
無茶苦茶に泣いた映画「幸福の黄色いハンカチ」、何度も見たい映画「南極物語」、そして生き様を見た映画「駅STATI ON」、そして、自分の人生と重なり、忘れることのできない映画、1999年の「鉄道員(ぽっぽや)」、映画館で、あたりかまわず泣いた。
雪景色のなか、最終列車を送り出したシーンは、今でも鮮明に浮かんでくる。
ともすれば、大きな時代の流れの中で忘れがちな「日本人」の倫理観、信義、美徳、謙虚さ、を健さんは教えてくれた。
少し大げさかもしれないが、「男の生き方」を教わった。


昨年、文化勲章を受けたとき、健さんは記者会見で次のように語られた。
「日本人に生まれて本当によかった」そして続けて「一生懸命にやっていると、ちゃんと見てもらえるんだなと・・・・・・」健さんがおっしゃった言葉の意味を自分なりにもう一度考えて見たい。


「あなたに褒められたくて」の最後の言葉を紹介しよう。
「お母さん。僕はあなたに褒められたくて、ただ、それだけで、あなたがいやがってた背中の刺青(ホリモノ)を描れて、返り血浴びて、さいはての「網走番外地」、「幸福の黄色いハンカチ」の夕張炭鉱、雪の「八甲田山」、「南極」、「北極」等と、30数年駆け続けてこれました・・・・・。


高倉 健さんの事務所が素敵なコメントを発表されている。
生ききった安らかな笑顔でございました。「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」
83歳の命を全う致しました。と・・・・・。

アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄

(2014.12.1発行 アソシア志友館しんぶん「絆」第33号より )