いろんな人との出会いは、本当に「ドラマ」だと思う。3月23日大阪で「日本一幸せな従業員をつくる」の上映会があった日のことである。奈良の友人が「是非あって欲しい人がいる」と勧められ、ホテルのロビーでお会いした。その方が「バイマーヤンジン」さん。聞きなれない名前だが、大阪在住の日本でただ一人のチベット人の女性歌手である。日本人男性と結婚され、母でもある。話す言葉からも、優しさが溢れていた。
そんなヤンジンさんが、日本の小学校を訪ね、驚くことがあるという。豊かで満ち足りた環境で育ち、十分すぎる参考書、文房具を持つ、日本の子どもたちに訪ねた時のことである。「あなたたちは幸せですか」と聞いたとき、答えは「別にぃ」、「分からん」・・・。チベットでは、遊牧民の子どもは物心つけば、羊など家畜の世話に明け暮れる。「字が読めても、放牧にも、乳搾りにも役立たない」と子どもたちを、学校に通わせていない親もいるという。なぜ、物質的に豊かな日本の子どもたちが、豊かさや、幸せを実感できないのか。ヤンジンさんは、本気で叱った。という。「分からんわけがないでしょう、こんなに立派な学校で勉強できて。お父さんが働いてお給料をもらって帰って来て。家に帰ったらご飯があって。欲しいものが買えて。分からんわけ、ないでしょう!」「私から見れば、いろんなものに囲まれて、恵まれているのに。価値あるものを持っていながら、その価値を分からないほど不幸なことはない」と、おっしゃる。
それは、子どもたちのせいでしょうか。日本の社会全体が、物に恵まれ、真の豊かさを忘れてしまったのではないだろうか。日本人本来の、「もったいない」を思い起こそう。まず私たちから。アソシア志友館として、近い将来「バイマーヤンジン」さんをお呼びして、素敵な歌声を聞いてみたい。そして語り合いたいと思っている。 アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄