全国を、上映会・講演会で飛び回っている。多くの人とのご縁を頂いています。幸せな時間です。
ある講演会で「一冊」の本をプレゼントされた。「柴田さん是非読んでほしい」と言われていただいた本である。
なかなか読むチャンスがなかったが、ようやくチャンスが訪れた。

その本の題名は「銀二貫」といい、「高田 郁」という女流作家が書かれた本である。とても面白くて、「一気に読んでしまう」本である。時代小説に縁の遠かった人も「はまる」と思う。
この本の終わりは、

身を屈めた善次郎のその耳元に、和助は口を寄せて、内緒ごとのように囁いた。
「なあ、善次郎、私はええ買い物、したなあ」22年前、銀二貫で仇討ちを買ったことを言っているのだ、
と悟った善次郎は、涙声で、こう返答した。
「へえ、旦那さん、ほんに安うて、ええ買い物でおました」

ストーリーは、到って簡単で、「ひとつの味」と「ひとつの恋」の物語である。
でも、奥底に人の「温かさ」が表現されている。雑踏の中に、忘れてしまいそうな大切なことである。
おそらく、私が通り過ぎてしまいそうな「本」をわざわざ、送り届けていただいた事に、感謝申し上げたい。

上映会、講演会では、数々の凄いご縁をいただいている。できる限り、具体的に紹介して、
皆さんに知ってもらおうと思っております。

 

アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄

(2015.10.1発行 アソシア志友館しんぶん「絆」第43号より )