平成27年度第1回のアソシア志友館「おもしろ学校」が5月13日(水)19時 00分~20時30分に「ウインクあいち」を会場に開催されました。
第1回の講師は立命館小学校および名進研小学校の岩下修先生。テーマは「日本語が創り出す世界」でした。
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前半は音読の授業でした。
最初の詩は「わらい」(金子みすゞ)でした。全員で声を出して音読しました。
「お腹を使って、ためて。」という指示で音読が変わります。
「大漁」(金子みすゞ)、「からっぽ」(坂村真民)、「ぶどう」(星野富弘)、「けやき」(みずかみかずよ)、「お経」(阪田寛夫)、「なにかをひとつ」(やなせたかし)と続けて音読していきます。
音読していきます。
「どうしていつも」(まど・みちお)では「この中で仲間はずれを1つ選んでください。」
と指示が出ました。
皆さんはどれだと思いますか?

はじめの人の答えは「やまびこ」でした。理由は「やまびこ」だけは人が関わるから。
次の人は「太陽」明るく強いイメージだから。
岩下先生の答えも「太陽」。しかし、理由は違います。太陽だけは中国語(外来語)で、その他は和語だから。

次の詩は下の写真です。
「けむし」(まど・みちお)です。
「けむし」(まど・みちお)です。「四角の中には何が入るでしょう?」という発問です。
答えは「さんぱつ」。思わず、笑いと感嘆の声が漏れました。
次もまど・みちおの詩で今度は題名が隠されています。

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なさけなや

おなかを

にぎりつぶされた

 
 

手製の

おりに

はいっている

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答えは①の四角が「ヒョウタン」、②の四角が「しまうま」です。

続いて、「ぼくがここに」(まど・みちお)、「春の俳句」、「春暁」(孟浩然)、「胡隠君を尋ぬ」(高啓)など俳句や漢詩をリズムを大切にして音読しました。最後は「平家物語」の冒頭を全員で読んで前半を終了しました。
後半は、詩の読解の授業でした。
川崎洋さんの「ほほえみ」です。
はじめに題名を書きました。
次に1行目「ビールには     」「ここには何が入るでしょう?」
多くの人が「枝豆」と答えました。
このようにして、1行ずつ何が入るかを考えていきました。
ビールには枝豆
「ほほえみ」の全文を以下に載せます。

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ほほえみ   川崎洋

1 ビールには枝豆          + 人事

2 カレーライスには福神漬      + 人事

3 夕焼けには赤トンボ        + 自然

4 花には嵐             - 自然

5 サンマには青い蜜柑の酸(す)   + 人事

6 アダムにはいちじくの葉      + 人事

7 青空には白鳥           + 自然

8 ライオンには縞馬         ± 自然

9 富士山には月見草         + 自然

10 塀には落書き           - 人事

11 やくざには唐獅子牡丹       - 人事

12 花見にはけんか          - 人事

13 雪にはカラス           - 自然

14 五寸釘には藁人形         - 人事

15 ほほえみ には ほほえみ     + 人事

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1行目から4行目までは順番にビールには何、カレーライスには何、夕焼けには何、花には何と考えていきました。
4行目が終わったところで、次の質問がありました。
「ここまでの詩の仕掛けは、何ですか?」
答え 1 1、2、3行目はプラス+の内容で4行目はマイナス-の内容
2 1、2行目は人事、3、4行目は自然
詩を見る新しい視点が示されました。
この視点も加えながら、5行目以降も考えていきました。
8行目が終わったところで、「なぜ縞馬は漢字なのか?」
明確な答えは出さないまま、9行目以降を考えていきました。
14行目が終わったところで、「ここでこの詩は終わりですか?」
ほとんどの人が「続く」に手を上げました。
ほとんどの人が「続く」に手を上げました。
1行空きで15行目がある。1から14行目が第1連で、15行目が第2連という説明がありました。
「ほほえみの後には何が来る?」
「なぜわざわざ2連を作ったのか?」
「なぜ10から14行目にやらしい(マイナスのイメージ)ものを並べたのか?」
答えは15行目を強調するため。対比の効果で15行目が引き立つ。
作者はほほえみを言いたかった。
「ほほえみ」の後1マスあけて「には」また1マスあけて「ほほえみ」と書いてある。
それだけ「ほほえみ」を強調したかった。
「ほほえみにはほほえみがふさわしい」という明確な主題がこの詩にはある。
作者はこれを言いたかった。
明確な主題がこの詩にはある。

参加者の感想を載せます。

全員で詩の音読、声を出すことでその詩の意味が入ってくる気がしました。
「ほほえみ」の詩が人事と自然に分かれるとは知らなかった。
音読を実際にやってみて、自分でも気持ちよく読むことができました。
「お腹を使う、ためる」を意識すると声や気持ちって変わるんだなと感じました。
詩や俳句、漢文を声に出して読むことで美しい響きや言葉の持つ力を感じることができました。
詩の読み取りですが、どんな秘密があるのか頭がフル回転で考えることができました。
一つの詩でこれほど思考したのは初めてです。
とても楽しかったです。
声に出して読むということ、すごくいいなと体感しました。
空欄にして、一度自分で考えることができたので、想像力を刺激され、さらに作者の発想の豊かさを感じることができました。気に入った詩を家でも音読してみたいと思います。
音読と詩の授業、あっという間の90分でした。「太陽」という音が中国語で、「月」「星」は和語というのは、言われて納得でした。日本人の自然に対する敬意の念と新しいものを取り入れるしなやかさを感じ、その感覚を大切にしていきたいと思いました。また、「ほほえみ」の詩も次はどうなるだろうと、どきどきしながら、授業を受けることができました。
最初に立った状態で音読したとき、先生が指揮者のように動いていたのが楽しかった。詩も演劇といっしょで心技体なんだと感じました。