とても懐かしく、ヒビキのいい言葉に久しぶりに出会った。
物を大切にした時代に使った言葉だ。
使い捨ての時代になってから、いつの間にか消えて行った言葉だと思う。
広辞苑を引くと、「持っている着物の中で、一番上等のもの。唯一枚の晴れ着。」とある。有り余るほどの「物」にめぐまれた時代、その物が手に入った感動は、いつの間にか忘れていた。
「国鉄」に就職した時、両親がお祝いに買ってくれた「紺の背広」と「腕時計」が自分の「宝物」だった。始めて「腕時計」を手にした時、あまりの嬉しさに、夜寝る時も枕の横に置いたものだ。いつも、ピカピカに磨き、大切に、大切に使ったものだ。
とても、懐かしい思い出として残っている。
長く豊さが続き、いつの間にか、「贅沢」になり、「欲張り」になっていた。
物が「過剰」にあることが幸せの「バロメーター」だとも思っていた。
しかし、食糧は供給総量の三分の一が「廃棄」されているという。
また、家庭電化製品は生産台数と「廃棄台数」は拮抗しているという。
地球上に「飢餓」なんて言葉は、「死語」になっているのだろうか?
地球上に「貧困」なんて言葉は、「死語」になっているのだろうか?
と、ここまで書き終えて、何気なく自分の机の引き出しを開けてみた。
たくさんの鉛筆、シャープペン、ボールペン、それに消しゴム、のり、輪ゴム、クリップ、ホチキス等が、狭い引き出しに、いっぱい入っている。
明日から、小さい事から始めよう! 一本の鉛筆を、小さくなるまで大切に!
アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄