ものすごい新聞の見出しである。5月28日だけの新聞にしてはなんとなく空しい。だから「絆」の中に書かせていただいた。米国の現職大統領としては初めて、第二次世界大戦に原子爆弾が投下された広島市の平和祈念公園を訪れた。被爆者らが見守る中、原爆死没者慰霊碑に献花し「私の国のように、核を保有する国々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気をもたなけれならない」と演説された。その後大統領は被爆者と長い握手を交わし、肩をお互いが抱き合った。いろんな立場で論評されている。賛否両論があるかもしれない。私は何となく暖かいものが流れた。

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の閉幕後、安倍首相と共にオバマ氏は広島に向かわれた。慰霊塔にお花を捧げられ、およそ17分の演説をおこなった。「71年前、雲一つない明るい朝、空から死が落ちてきて、世界は変わった。閃光と炎の壁は都市を破壊し、人類が自らを破壊するすべを手に入れた事を実証した」と切り出し、第二次世界大戦の全ての犠牲者を追悼するために、広島を訪れたと説明した。その上で「いつか証言する被爆者たちの声はきけなくなる。それでも1945年8月6日朝の記憶は風化させてはならない」と力を込め「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく、道義的な目覚めの始まりとして知られるだろう」・・・と演説を結んだ。

アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄

(2016.6.1発行 アソシア志友館しんぶん「絆」第51号より )