「足る」を知るということである。
そうか、もっと欲しいと欲張るな!ということだ。人間どうしても、欲張りだ!自分がもっていないものを欲しいものだ。僕もそうだ。「奪い合えば争い、分け合えば幸せ」こんな単純な事が出来ない。人間は悲しい生き物だ!・・・。自分も大切だけれど、「相手はもっと大切だ!」ということを分かっているのに。
子供の頃、わかっていたことを大人になって忘れてしまう。大人になるとは、「分別」が出来るというのは間違いかなとさえ思う。毎日の生活の中で、上手に生きる事ばかり考えて、大切なことを忘れてしまったのかなあ・・・。いつの間にか、そうなっている自分に驚く。あれだけ、物がない時代でも、幸せを感じられた頃を思い出す。
僕の生活は物を持つことが一つの幸せだった。いろんな物を持ちたかった。今思えば笑ってしまう。でも当時はそれも真剣だった。今でも思い出す「宝物」がある、それが自転車である。ピカピカの「富士号」は僕にとって唯一の「宝物」だった。
タイヤが雨に濡れるのがいやだった。だから雨降りは嫌いだった。スポークがピカピカなのが自慢だった。だからいつもピカピカだった。自慢の「宝物」だった。友達に自慢の「自転車」だった。
あれから、何年たったのだろう。今でもこうして思い出す。
アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄
アソシア志友館 理事長 柴田 秋雄 (2017.8.1発行 アソシア志友館しんぶん「絆」第65号より )