平成27年度第3回「アソシア志友館おもしろ学校」が7月15日(水)19時~20時30分に「ウインクあいち」を会場に開催されました。

第3回の講師は愛知教育大学附属名古屋小学校の古市博之先生。
理科の授業で、テーマは「見えない力の不思議」でした。 古市先生は理科の授業で、私たちに、「何ができるようになるのか」「何を学ぶか」「どのように学ぶか」と学び方の観点を提示されました。

21世紀型授業として、目に見えない力、「力学」を例にいろいろな方法で実験を取り入れて、楽しく学ぶことができる授業をしていただきました。

21世紀型授業ポイント1


①試すこと
②体験すること
③実感すること

例 「3年生 風の力と空気砲」
【課題】 空気の力はどのように確かめればいいのか。
実験1 帆車に風をあてる。
方法 ① 団扇を強弱つけてあおぐ。風の力を変える。(送る)
② 車の帆の大きさを考える。(受け取る)
結果 団扇を強く仰いだり、帆を大きくしたら速く進んだ。
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感想 作用・反作用の法則を直感しました。
実験2 空気砲
方法 窓があるダンボールの中に煙を入れて、横からおす。
結果 煙のリングが窓から出てくる。
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感想 遊びながら空気の力が体感できるのがよかったです。
実験3 風船空気砲
方法 ペットボトルを1/2に切ったところに風船をつけて、風船を引っ張った。
結果 風が出た。
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感想 童心に帰って、楽しかった。


21世紀型授業ポイント2


○実験方法を考える習慣

例  「3年生 重さ」
【課題】材質によって重さは変わるのか。(密度)
実験 水槽にかまぼこを入れる。
予想 [浮く] かまぼこは魚のすり身だから。魚は沈まないから。 板は木でできており、水の密度より低いから。等
[沈む] かまぼこは水の密度より大きいので沈む。等大半が沈むと予想した。
結果 水槽にかまぼこを入れたら真ん中で浮いた。
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感想 浮く・浮かないをみんなが考え、意見を出し合った後、先生がかまぼこを入れる実験をされ、水槽の真ん中で止まったとき、どよめきが起こり「どうし て」の疑問の声に変わりました。 その後、先生が水槽は塩水と真水の二層になっていたと種明かしをされたとき、大きな感動がありました。水の密度の違いで途 中で浮いた。 なるほど。


21世紀型授業ポイント3


○知識をもとに未知の課題に挑む。

例1 「4年生 ものの温まり方」
【課題】熱気球をつくろう。
知識 物は温まると軽くなるので、上にいく。
実験 ビニール袋の下でドライヤーの温風を送る。
結果 袋のまま飛んでいく。
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例2
「5年生 振り子」
【課題】三角錐の振り子の重りの向きを変えると周期は変わるだろうか。
知識 振り子の周期はひもの長さでかわる。(重心)
実験 ①三角錐のとがった方を上にして周期時間を計る。
②三角錐の底辺を上にして周期時間を計る。
予想 [変わらない]  ひもの長さが同じだから。
[変わる] 何となく。直感。
結果 周期は同じではなく、違っていた。
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解説 円盤の振り子ではどこからとっても重心は変わらないが、三角錐の場合は、重心が高さの1/4にあることから、重心の位置が変わり、糸の長さが変わることになる。よって、②の周期が速い。
例3
「6年生 てこ」
【課題1】実験用てこを使って釣り合わせてみよう
知識 支点からの距離×おもりの重さが左右等しいとき、釣り合う。
実験 ①左うで4目盛り×重り2個=右うで2目盛り×重り4個
②左うで1目盛り×重り4個+4目盛り×2=右うで1目盛り×重り2個+2目盛り×重り3個+4目盛り×重り1個
解説 足し算やかけ算の両方で求めることができる。
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【課題2】にんじんはどこで吊したら釣り合うか。
実験 ①真ん中 ②左の方 ③右の方
結果 ③で釣り合った。
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解説 支点からの距離が短いとき重い方が釣り合う。
例4
「中学1年生 圧力」
【課題1】卵をつぶせるか。
知識 力を加えた分、逆向きの大きさの等しい反作用が常に働く。(作用・反作用)
実験 片手で握って圧力を加えた。
結果 なかなかつぶせなかった。
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【課題2】紙コップに乗ってみよう。乗れるかな。
実験 アクリル板に紙コップを置いてその上にアクリル板を置き、その上に乗ってみる。紙コップいくつまで乗れるか。
結果 紙コップ10個から初めて1個ずつ抜いていったら、4個まで乗れた。
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例5
「中学1年生 大気圧」
【課題1】空気を押しつぶすとどれだけの力になるのか。
実験1 吸盤をアクリル板に両方から貼り付け、2Lのペットボトル下げていく。
結果 ペットボトル4個まで吊り下がった。
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解説 吸盤の力は空気を押しつぶした力で、圧力がある。
実験2 ピンポン玉を筒に入れて上を手で押さえ、ピンポン玉の様子を見る。
結果 結果手で押さえると動きが鈍くなる。
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解説 空気の力が働いているから。
【課題2】浮沈子が沈む理由を考えよう。
実験 ①魚の形をした醤油入れに水を半分いれ、口元に金属のねじをつける。
②ペットボトルに水を入れてその中に魚を入れる。
③ペットボトルの外側から押したり、はなしたりする。
結果 浮沈子が浮き沈みする。
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解説 魚は水の中で「浮力」で浮いている。水中の物体は物体が押しのけた水の重さに等しい浮力を受ける(アルキメデスの原理)。
ペットボトルの中の魚は、物体が 押しのけた部分で空気の体積に当たる。空気の体積が大きいほど浮力は大きくなる。
魚の中に入っている空気の体積がペットボトルを押さえることで、魚の中の 水が上がり、体積が小さくなり、浮力が小さくなり沈む。
  

21世紀型授業ポイント4

○学習を振り返り次につなげる。

①知識としての学びは。
②技能としての学びは。
③おもしろ学校としての学びは。    


一部ですが参加者の感想を載せます。

えっ!もう終わり?いろいろできて楽しかった。子供の頃にこんな理科の授業を受けていたら、理科が好きになっていたかも等。今回の授業の賞賛の声がたくさんありました。


  • すごくおもしろくて、食い入るように実験を見て、楽しく学べました。かまぼこが真ん中に浮いているのは、初め、理由がわからず、びっくりしました。身近に不思議なこと、興味深いことがいっぱいあるんだと発見できました。
  • すごくわかりやすくおもしろいです。かまぼこは水の塩分濃度が違っていたとは、気づきませんでした。準備が大変でしたね。金魚もおもしろかったです。
  • 楽しかったです。ありがとうございました。理科は苦手でしたが、小さい頃にもこんな楽しい実験だったら、もう少し好きになっていたかも!?と思いました。童心にかえれて、ワクワクした時間を過ごすことができました。そして、古市先生が終始笑顔で楽しそうにされていたのでそのエネルギーが皆に伝わったのかな。とも思います。!!
  • 楽しい実験ばかりで引き込まれました。なぜ?なぜ?の連続でした。
  • 形式上の数式を覚えることよりもまずは体験してみることで難しい公式も目に見えるように工夫して「みせる」ことで体験から入ることで理解しやすくなるように感じました。
  • 少年のように、いろいろなことに興味を持って楽しく授業を受けることができました。あたりまえの事をうまく利用すると楽しい現象として見ることができ、身近なものを見直したい。
  • 子供の頃に感じたワクワク感!思い出しました。大人になるとたくさんの概念に縛られ、素朴な疑問を忘れてしまう・・・。素朴な疑問は様々な発明や可能性の素である!!自分の可能性もきっと様々な概念でかき消してしまっているのかもしれない・・・。古市先生、準備、授業、ありがとうございました。
  • 笑顔のすてきな先生でとても楽しく授業を受けることができました。いつもあたりまえだと思っている事がすべて何か理由があるという事が証明されて貴重な体験でした。
  • 一番苦手な理科の授業でしたが、最後が楽しくはまりました。先生も材料を作るのが大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。
  • 色々な実験があってめっちゃ楽しかったです。これを仕事(子供と接する)に生かしてやってみたいです。今日、色々な道具を持ってきて頂き、ありがとうございました。先生のその力(見えない力)で私たちは楽しませて頂きました。
  • 今日は実際に試す、実験する、体験する事ですごく楽しく勉強する事ができました。同じ実験でも実験方法を変える事、今まで自分にある知識をもとに考える事で、より楽しく勉強できることを感じました。初めから最後まですごく楽しく勉強させていただきました。
  • 子供たちと一緒にいろいろな実験をしたこと、私自身も楽しかったです。「何でだろう」「どうしてだろう」を思うこと、分かった時の嬉しさ、大切にしたいと思います。
  • 今日の授業はとてもシンプルですが、基本的なことを学べて良かったです。これは子供のワクワクを刺激する素敵な題材でもあり、私たち大人にも新しいワクワクをいただけました。
  • 子供の時にこんな授業と出逢えたら今とは違う人生を歩めたはずだと強く感じました!!
  • お腹から笑えて最高に楽しかったです。同じテーブルの人ともすっかりお友達になれました。