7月8日(金)に令和4年度の第3回のおもしろ学校を行いました。講師は精神保健福祉士心理カウンセラーの藤野裕道先生です。総合でテーマは「人間関係をより良くするために今日から自分ができる事を探そう」でした。

「人間関係ってどんな関係がいいですかと聞かれると、『信頼関係』が出てきます。信頼関係について、深めて考えていけたらと思います。信頼関係はどうやったら構築できるのか。信頼関係構築には、3ステップがあります。」

Ⅰ)コミュニケーションがあること
Ⅱ)コミュニケーションで安心を提供し信用されること
Ⅲ)コミュニケーションの度に安心感を持ってもらい信用が継続すること
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「『信用』と『信頼』の違いは何かと聞かれたら何と答えますか?」


20220708omoshiro_02「信用の用は、今用いるというように使うから、用という字には今という意味があります。信用というのは、今あなたのこと信じますよというふうにとらえることができます。コミュニケーションを実際にして、そのコミュニケーションをしている中であなたのことを信じられますとなったら信用されたということでいいのではととらえています。頼るという漢字には、期待するという意味があります。期待とは、時間軸でいうと過去ではなくて未来になります。信頼とは、未来あなたのことを信じられると期待するとなります。見えない未来まで信じられるのが信頼です。ステップのⅡ・Ⅲは、コミュニケーションをした時点で信じられるかが重要で、それが積もり積もっていくと今度は未来を信じるという状態になっていき、信頼関係となり、とてもよい人間関係になります。」

「どんな人が信用できますか?」
「安心感のある人です。」

「安心の反対は不安です。今、不安に思っているものには何がありますか?」
「コロナが不安、将来が不安、2つの共通点は、見えないです。見えないと不安になり、見えると安心します。コミュニケーションをとっている時に、見えないものを感じてしまうととても信用できません。」

20220708omoshiro_03これまでの話を図にまとめます。過去、今、未来とあって、過去から今まで何回かコミュニケーションをとった時に見えないものを感じないと信用できるようになります。過去から今まで信用できたので未来も信じることできると期待でき、それが信頼となります。」

「信頼関係には落とし穴があります。」
「信頼関係の落とし穴は、一度構築できたとしても永続しないことです。」
○信頼研究のポール・ソルビック
信頼は1つの不運な事故あるいは間違いによっても一瞬で崩れる可能性を有している。→継続するには絶え間ない努力が必要。
○行動学の研究
人間は「利益を得る」よりも「損害の回避」を目指す傾向がある。→信頼の再構築は難しい。信頼するかどうかは相手にかかっている。
20220708omoshiro_04「コミュニケーションとは何かという話をします。」
「コミュニケーションはキャッチボールです。ボールを取ったり、投げたりすることです。言い換えると発信したり受信したりすることです。両方できないとキャッチボールになりません。対話でいうと、話すことと聞くことの両方をバランスよくできて初めてキャッチボールになります。」
「いけないコミュニケーションは、ドッジボールです。外野の人は、内野の人は当てることばかりになります。内野の人は、取ったりよけたりだけでなく、当てられるとアウトとなり、コミュニケーション退出となります。」
「オンラインコミュニケーションは、見えないものが多く不安になります。コミュニケーションの後の余韻(温かさ)を残すことが難しくなります。余韻を感じてもらうために、アフターメール、チャット、ラインをできるだけ送るようにしています。」
「コミュニケーション量を増やすための効果的な対話法(返事の仕方)は、積極的・建設的な対話法です。相手のしている話題と気持ちが続くように返事をすることです。」
積極的対話:相手のしている話題を続けられるように返事をすること。
建設的対話:会話をしている相手の今の気持ちが続くように返事をすること
消極的対話:相手のしている話題が終わるように返事をすること。
破壊的対話:会話している相手の今の気持ちを折るように返事をすること。
※「積極的・建設的対話」、「積極的・破壊的対話」、「消極的・建設的対話」、「消去的・破壊的対話」がある。
20220708omoshiro_05「コミュニケーションをしたくなる人はどんな人ですか?」
「明るく前向きな人、柔和な表情の人、受け入れてくれそうな人、笑顔のすてきな人…」「笑顔でコミュニケーションをとると、相手もしゃべりやすくなり。いい人と思ってもらえます。コミュニケーションを考えると笑顔で過ごすことがとても重要です。」

「笑顔には相手の印象をよくするだけでなく、いろいろな効果があります。」
①リラックス効果
・フェイシャルフィードバック…作り笑いであっても、リラックスに欠かせない副交感神経が優位になって、人はリラックスできます。
・フロー状態…人間が一番自分の力を発揮できる状態のことで、「ゾーン」ともいいます。この状態は、緊張とリラックスのバランスのよい時にしか起こりません。緊張する場面では、笑顔でリラックスすることが大切です。
②ハロー効果(後光効果)…笑顔の人が商品を紹介すると、商品の魅力がより良く見えてきます。
③声の質があがる…笑顔では口が横に大きく開きます。口を大きく開くと滑舌がよくなり、相手にとてもよい印象を与えます。
※メラビアンの法則…目からは55%、耳からは38%の情報が入って印象が決まります。目から入る表情だけでなく、耳から入る声もとても大切です。
20220708omoshiro_06「楕円形の中に、顔のパーツを描き入れて、笑顔の絵を描いてください。時間は10秒です。……できた絵を周りで見せ合ってください。」
「簡単に笑顔の絵を描くには、目尻を下げて、口角を上げればいいんです。」
「笑顔のトレーニング方法は、口角を上げることです。マスクの中でも口角を上げると頬も上がります。頬が上がると目尻にしわが入って、目尻が下がって見えます。」

「口角を上げる笑顔のトレーニング方法は、鏡の前で口角に手を添えて、オーバー気味に無理矢理上げて、1・2・3と数えたらパッと手を離すやり方です。これを10回繰り返します。新しい取り組みをして「習慣化」するためには21日間かかると言われています。笑顔のトレーニングを習慣化させるために、21日間は継続してみてください。」

20220708omoshiro_07「コミュニケーションで安心感を提供する時に何を意識するといいですか。4つのポイントがあります。」
①明瞭
・分かりやすく話すための準備をしましょう。「想定」という準備をしておくと緊張せずに話せて、分かりやすくて信用してもらえます。
・コミュニケーションは話すことと聴くことです。しっかりうなずきながら聴きましょう。
②集中
・「一時一事」を意識して目の前のコミュニケーションに集中しましょう。
③誠実
・相手の話は最後まで聴いて途中で口をはさまないようにしましょう。
④一致
・言動(発言)と気持ちを一致させましょう。しっかりと気持ちを込めて挨拶をしたり、言葉を発したりすることが重要です。仏教用語を紹介します。「身口意一致(しんくいいっち)」です。身(行動)と口(発言)と意(気持ち)を一致させることが大切だという意味があります。
感想を紹介します。
○授業を受ける中で、日々関わっている仕事、家族とのコミュニケーションを見直さないといけないと強く感じました。まずすぐにできることだと「作り笑顔」を見せるところからだと思うので日々実践できるように鏡を見て練習しようと思います。また、できるようになったことを満足するだけでなく、継続し、周囲に変わったと思ってもらえてからこそが本当にできた状態だと思うので行動していきます。

○前半のお話で「信頼関係が築けている人」というワードを聞いて、職場やプライベートで何人か顔が思い浮かびました。でも、その人たちと永続的な信頼関係を保つために努力しているか?と自問すると意識的にできていないなあと感じます。「この人なら言わなくても分かってくれる」といった甘えた気持ちが無意識に存在しています。反省!11月に子どもが生まれる予定なので、積極的で建設的なコミュニケーションで信頼される親になれるよう努力します。

○お話の上手さに圧倒されました。人と人とのコミュニケーションの大切さを改めて感じました。自分は滑舌が悪いことを自覚していて良くしたいなあと思っていました。大きく口を開けてしゃべればいいんだ、それを21日間続ければ身につくんだと分かってちょっと希望がもてました。

○コミュニケーションの量を減らさないためにできることをいくつかあげていただき、自分にもできそうだと思えたことがありました。笑顔をつくる時、口角を上げることは知っていましたが、目尻は下がらないと聞き、目から鱗でした。頬が下がって目尻にしわが寄ると聞き納得でした。また笑顔により声の質が上がると聞き、「なるほど!」と思いました。ぜひ実践したいです。

○藤野先生の笑顔でお話している姿を見ていると、こちらもつられて自然と笑顔になりました。コミュニケーションが不足していると顧みることができて、大切な人とのコミュニケーションの質を上げていこうと思いました。笑顔あふれる人間関係ができる人生は幸せだなあと思います。