【活動報告】令和5年度 第2回おもしろ学校にて
6月17日(金)に令和5年度の第2回のおもしろ学校を行いました。
講師は、古知野北公民館の木本純先生です。
総合で、テーマは「人生を深める大人の『総合的な学習の時間』~『気づき』から少し深堀すると、普段の風景が変わる~」でした。

20230617omoshiro_01 最初に、クイズが出されました。「1月1日は、日本の祝日です。その日は日曜日で5日ぶりに雨が降りました。」読めますか?会場の参加者は簡単に読めましたが、日本語を学ぶ外国人を絶望的にする日本文だそうです。「日」の読み方が、7種類もあって戸惑ってしまうそうです。私たちが当たり前だと思っていることも、立場や見方を変えるととんでもないことになってしまいます。
次のクイズは、「外国人に出してはいけない食べ物は何でしょう?」でした。
「ごぼう」…ごぼうは「木の根」と解釈されるそうで、無理にすすめることは、虐待に相当するらしいです。
「生のり」…外国人には生のりを分解する酵素がなくて、消化することができないらしいです。

参加者から、「えーーー」と歓声があがっていました。
20230617omoshiro_02 「総合的な学習の時間」には、どんな学習をするの?
探究的な学習をすればいい。わからないことを研究して課題をを解決していく勉強をすればいい。

「探究」とは脳を活性化させることです。そのためには、数多くの「アハ体験」をし、脳内の「ドーパミン」を増やすことが大切です。
「アハ体験」とは未知なものごとの知覚を通して、今まで全く理解できなかったことや、思いつかなかったことが閃く瞬間を指す心理学上の概念です。
人間の脳は課題を解決すると「ドーパミン」が分泌されます。
ドーパミンを増やすと劇的に脳が活性化し、やる気がみなぎり、集中力、頭の回転も上がっていきます。
何気ない身近なことを探究して「へー!そうなんだ!」「知らなかった」「おもしれぇ!」にもっていければ脳内にドーパミンが分泌されます。カオスの状態からコスモスの状態に持っていければよいのです。
探究は切り口がポイントです。同じモノでも、切り口を変えると、違うモノになります。その切り口が個性です
20230617omoshiro_03 普段何気なく見ていた標高173.1mの「伊木山」を、脳内を活性化させるために、もう少し突っ込んで調べてみようと思いました。参考にしたのが、大谷翔平選手が高校1年生の時に作った「目標達成シート」です。
20230617omoshiro_04-2「伊木山」を深掘りするために、キーワードを8つ(「伊木山城」「信長の中濃攻略戦」「航空自衛隊岐阜基地」「各務原市」「夕暮れ富士」「熊野神社」「低山登山」「木曽川」)考えました。更に深掘りするために、それぞれのキーワードに8つずつ、合計64の切り口を考えました。
キーワード「伊木山城」にある「伊藤清兵衛(忠次)」を詳しく調べていくと、池田家の家臣となって活躍したことが分かりました。「伊木山」を見ると、姫路城が思い浮かんできます。
池田恒興の家臣となる。
小牧長久手の戦いの折に、豊臣方につくよう進言する。
池田恒興、長男元助の戦死、池田家の次男輝政による相続に尽力する。
関ケ原の戦いの前哨戦、岐阜城攻めで活躍する。
池田輝政が姫路52万石の藩主、筆頭家老の伊木忠次は三木城主となる。
伊木忠次の長男、伊木忠繁が姫路城の大改修の普請奉行となる。
伊木家が池田家の筆頭家老として裳掛に3万3千石を有し、天下の三家老と言われる。
キーワード「信長の中濃攻略戦」では、「堂洞合戦」や「関・加治田合戦」について、地図を使って詳しい説明がありました。また、歴史上はあまり有名ではありませんが、中濃攻めで活躍した3人の武将、桶狭間の戦いで今川義元を打ち取ったとの説もある河尻秀隆、斎藤道三の末子で、信長の対上杉外交を担っていた斎藤新五利治、長篠戦いで、酒井忠次と共に鳶の巣砦の奇襲を行った金森長近についても説明がありました。
20230617omoshiro_05キーワード「夕暮れ富士」では、「犬山城から見ないと夕暮れ富士になっていない」「中国から見ると、日本は日出ずる国になっている」という例をあげて、基準を定めることの大切さについて説明がありました。
キーワード「各務原市」では、「各務原市」の正式な読み方について4択で質問がありました(①かがみがはらし②かかみがはらし③かかみはらし④かがみはらし)。答えは②でした。しかし、JR各務ヶ原駅は①を、県立各務原高校は③を使っています。一般的に多くの人は④を使っていますと説明があり、会場から「へーーー」の声があがりました。
キーワード「航空自衛隊岐阜基地」では、写真を使って、機体を牛に引かせて運ぶ様子や軍用機などの装備・物資や人員を、砲爆撃など敵の攻撃から守るために山に掘った横穴である掩体壕(えんたいごう)の説明がありました。
キーワード「木曽川」では、尾張藩が木曽川を支配したこと、木曽川を挟んで朝廷側と幕府側が戦った承久の変の説明がありました。
キーワード「熊野神社」では、全国で4,000社を超える熊野神社があること、熊野神社の近くに「鈴木姓」が多いこと、熊野神社と観音寺がセットになっていること、明治初期の神仏分離令、廃仏毀釈運動により仏教の危機があったこと、神道側も祭神の変更などが求められたこと(例:祇園社→八坂神社、牛頭天王→素戔嗚尊)の説明がありました。

20230617omoshiro_06 キーワード「低山登山」では、30分位で登れる低山の紹介がありました。中でも犬山城から名古屋の高層ビル群まで見渡せる「明王山」からの眺めの良さを強調されました。
8つのキーワードの説明の後に、少しドキドキする切り口の紹介がありました。
「鳥居強右衛門の磔の地」「鋸挽きの刑」「京都 養源院 血天井と俵屋宗達の杉戸絵」「京都 瑞泉寺 秀次一族39名の処刑地」「東京駅にある二人の首相の遭難現場」「紀尾井坂の変」「池田屋事件」「平将門の首はどこに落ちた?」………

20230617omoshiro_07 最後に、先生が大事にされている5つの「ワーク」を教えていただきました。
「ヘッドワーク」「フットワーク」「ネットワーク」「フィールドワーク」「ライフワーク」

感想を紹介します
○探究がこんなにおもしろいとは。自分で興味のあることを調べていったらもっともっとおもしろく感じるのだろうなと思いました。切り口も人それぞれでよく、ハードルが低くなるような気がします。ぐちゃぐちゃだったカオスから、整理されたコスモスへと変化していくと自分の知識も整えられていくように思いました。
○本日は「気づき」の話をしていただいてありがとうございます。最近は、だんだん仕事と決まった趣味のこと以外になかなか興味がなくなっていました。年齢を重ね、だんだん老いを感じてきました。ちょっとしたことでも、いろいろ興味をもてるきっかけをつくっていただいて感謝しています。
○知らなかったことを知って、なるほど、へぇー、そうなんだーと思えたのがよかったです。今度行ってみたい場所もできてよかったです。いろいろな考えができるように、ワクワクして生活していきたいです。
○「伊木山」ひとつから、たくさんの方面に話が広がり、とても楽しかったです。知らなかったことばかりで、本当に「へー!!」の連続でした。自分なりの切り口を見つけていきたいなと思います。
○伊木山から、いろいろな歴史があることを教えていただき勉強になりました。特に、城跡がたくさんあると知り行ってみたいと思いました。深いですね。