【活動報告】令和5年度 第3回おもしろ学校にて
7月14日(金)に令和5年度の第3回のおもしろ学校を行いました。
講師は、古知野中学校の竹野正純先生です。
道徳で、テーマは「心に種を蒔く道徳」でした。

20230714omoshiro_1
「道徳は何のために行うか?」
「道徳の目的は道徳性を養うため。」
「道徳性とは?」
「学習指導要領には3つの力として分けられています。」

・道徳的な判断力
・道徳的心情の理解
・道徳的実践力及び態度

「道徳性を高めるために、道徳の授業では読み物資料を使います。本来、道徳性はどんな場面で高まるかというと経験です。経験値は子どもたちそれぞれ違います。できるだけ多くの経験を積ませるために考え出されたのが読み物資料です。主人公に自分を投影して疑似体験をすることによって道徳性を高めていきます。友だちの意見を聞くことによって自分自身を成長させることも道徳の授業で大切なことです。」
「今までの道徳の授業では、初めにめあてを設けて授業を行い、最後に共通解にたどり着く流れでした。最近では、多様性が進む中、必ずしも皆が同じ答えにたどり着くのだろうか、授業で共通解にまとめてしまってもいいのだろうかとなり、新しく出てきたのが納得解です。納得解とは、自分というフィルターを通しながら、その出来事を自分事として試行錯誤を経て得られた自分なりの結論のことです。」

20230714omoshiro_2
授業に入って最初の質問です。「みなさんにとって´きまり′とは何ですか?」隣の人と話し合ってから発表しました。ズーム参加の人は、チャットで意見を寄せました。

・仲間が気持ちよく生活するためのルール
・集団の中の決め事
・集団生活をする上で守るべきもの
・みんなが仲良くするための大切な約束
・少し窮屈なもの
・お互いが気持ちよく生きるためのガイドライン
・社会の中で気持ちよく生活するための行動規範
・安全
・人に迷惑をかけないためのもの
・しきたり

本日の道徳の資料は、「二通の手紙」です。
先生が資料を、入園時間が過ぎてから、姉弟だけで動物園に入れてあげたところまでを読んで出された質問です。
「みなさんなら二人を中に入れてあげますか?」
隣の人と意見を出し合った後に、全体で発表しました。先生から「納得解にたどり着くために、他の人の意見を聞くことが大切です」とアドバイスがありました。
会場の参加者の意見は、「入れる」が5人、「迷う」が5人、「入れない」が2人でした。

20230714omoshiro_3
次に、先生が資料を、母親からのお礼の手紙と懲戒処分を通告する文書の二通の手紙をもらうところまでを読んで出された質問です。
「懲戒処分についてどう思いますか?」
「重い」「迷う」「妥当」のどれかに○をつけ、理由を書いてから発表しました。

・妥当、子どもの安全性を確保していなかったので
・妥当、けががなくてよかったが、大変なことになっていた可能性があるので
・迷う、みなさんの話を聞いて、妥当寄りの迷うに変わった
・重い、大事に至らなかったので重いのでは
・重い、厳重注意でよい、会社のルール作りの元にすればよい
・妥当、停職処分なので、復帰もできるのでよいのでは
・妥当、何かあったことを考えると反省が必要、これを踏まえた上で今後どうするか、会社のプラスの方に働きかけるとよい

先生から「ワークシートに色を変えて付け足しておくとよいです。友だちの意見から学んで成長できます。」とアドバイスがありました。

20230714omoshiro_4
先生が、資料を最後まで読んで出された質問です。
「なぜ元さんは、はればれとした顔で、身の回りの片付けを始めたのだろう?」
ワークシートに書いた後、ホワイトボードに自分の意見を書きました。

・子どもたちに対する喜びではればれしている。
・ルールを破ったことに対するけじめをつけるため。
・新しい気づきを得ることができたから。
・決まりについて考えさせられたから。
・次の仕事に生きると思ったから。
・柴田理事長なら、「夢ありがとう賞」もののできごとだったから。

先生から「自分になかった考えに質問してください。聞きたいことはないですか。ここが学びのポイントです。自分になかった人の考えを聞くことは大切です。」と問いかけがありました。
「決まりについて考えさせられるとなぜはればれできるのか。」「処分になぜ納得できたのか」「二通目の手紙があってなぜはればれできるのか」等の質問が出されました。

20230714omoshiro_5
資料の最初に戻って質問が出されました。
「元さんと仕事をしていた佐々木さんは、どうして2、3分遅れくらいなのに高校生を入れなかったのだろう?」
隣同士で意見を出し合った後に発表しました。
「佐々木さんは、元さんの優しさと厳しさの両方を理解していた。優しいところも好きだけど、元さんが自分がやめてまで伝えようとしたのは、ルールを守ることの大切さだと受けとめていたので高校生を入れなかったんだと思います。」

最後の質問が出されました。最初と同じ「みなさんにとってきまりとは何ですか?」でした。

「二通の手紙」を通して、もう一度決まりについて考えました。
「授業を受ける前に決まりについて書いたものと比べてみてもし変化があるようならば、その変化こそが今日の学びの成果です。いろいろな人の意見を聞き、物語の中の元さんを通して疑似体験することで学ぶことができたと思います。ぞれぞれ書かれていることが違っていると思いますが、これが一人一人の納得解になっていればよいなと思います。」

 

感想を紹介します。

○道徳は、学校だけでなく家庭でも必要な授業だと思います。今のような多様性の時代で自分なりの結論も共通解のベースの上で生かされると思います。どちらの意見も理解したいです。

○道徳の授業は、話し合いが多いだろうからリアル参加するかどうか迷いましたが、ズームでも意見をちゃんと聞いてもらえて楽しく参加できました。「なぜ元さんは、はればれとした顔で、身の回りの片付けを始めたのだろう?」という質問に対して、「きまりについて考えることができた」「けじめ」という、私には思いつかない考えをお聞きできてよかったです。皆さんの意見を聞きながら思いを巡らせていたら、元さんが自分から退職したことに納得できなくなってきました。もし、あの姉弟がまた動物園に来た時に、元さんが辞めたことを知ったら、悲しむんじゃないか、母親は我が子のせいかもと気にするんじやないかと心配になり、モヤモヤしました。個人的には、元さんには停職後、動物園に戻ってまた笑顔で入園係をしてほしかったです。時間があればそのお話をしてみたかったと思いました。

○私はきまりについて堅苦しいものという印象が強かったのですが、本日の授業でたくさんの他の意見を聞いて、きまりは理由があって人を守ったりするための優しさがあるのだと思いました。校則でも「なぜ廊下を走ってはいけないのか」という視点をもつことが大切だと思いました。また、授業者の視点でも拝見しましたが、多様な意見を整理しながら納得解に導く難しさと先生のすばらしい授業力を感じました。

○授業の冒頭で考えてきた「きまり」と結びの時点での「きまり」の捉え方が大きく変わり、とても学びが深まりました。共通解ではなく納得解を求めていく道徳を初めて学ばせていただきましたが、他の方の意見を聞いて更に質問を重ねて納得解を目指す授業の形はとても新鮮でした。「なぜはればれとしたのか?」の言葉に対して質問を重ねる機会をいただきましたが、お答えをいただいた中で「新しい自分を発見した喜び」という答えが私にとっての学びとなりました。