9月9日(土)に令和5年度の第4回のおもしろ学校を行いました。
講師は、犬山市立楽田小学校の古市博之先生です。
理科で、テーマは「大地のつくり」でした。


古市先生が用意してくださったたくさんの資料を見ることができるGoogleクラスルーム
というアプリをダウンロードして授業がスタートしました。
20230909写真1
最初の内容は、「バーチャル巡検へようこそ」でした。
「理科には4本の柱があります。物理・化学・生物、そして地学です。地学で学ぶこと、それは、時間的・空間的な視点です。これまでの授業では、どうしても部分的な学びになりがちでした。その問題を解決するアイテム…それがICT機器です。」ICT機器を活用したバーチャル巡検のよさについて説明がありました。
20230909写真2 5年生の天気の授業です。天気の変化の分かるユーチューブ動画を見て、雲の動きを観察しました。雲の様子や雲がどのように動いているのかについて分かったことを発表しました。
また、宮古島の横なぐりに降る雨の様子を見た後に、その日の天気図を見ることで、台風の雲の様子を確認することもできました。
QR-01
「小5理科 天気の変化」



QR-02
「過去の天気」





20230909写真3
二つ目の内容は、「GoogleEarthで川探検」でした。まず初めに、「長島スパーランド」と入力して、河口からたどっていき木曽川の源流を各自で見つけることになりました。参加者は、「どんどん川幅が狭くなる」と言いながら、夢中で取り組みました。
黒部川を調べると、平らな平野からすぐに山が深くなり、登ると大変そうな急な斜面になりました。黒四ダムを造ることが大変だったことがよく分かりました。
釧路川を調べると、川がウネウネしていて、平らな土地をゆったり流れて蛇行している様子がよく分かりました。
藤前干潟から庄内川、土岐川を調べると、下流から上流までだどることで景色がどんどん変わっていくことが分かりました。



20230909写真4三つ目の内容は、「ドローン映像で、木曽川を見てみましょう」でした。GoogleEarthよりも更に詳しく川を見るために、古市先生がドローンを使って撮影した映像を見て、気づいたことを発表しました。
「下流は、川幅が広い。」
「下流は、石が小さい。砂があるのも分かる。」
「中流では、川の中にしぶきが見えるので、流れが速くなっている。」
「上流の石は、とても大きい。流れも急になっている。」
上流・中流・下流の様子が、まるで実際に見てきたかのようによく分かりました。
QR-03
「小5 流れる水のはたらきと土地の変化」
木曽川(上流・中流・下流)




20230909写真54つ目の内容は、「濃尾平野ってどんな場所」でした。
初めに愛知県豊田市にある猿投神社で発見された1300年前の愛知県周辺の古地図を見ました。古地図の真偽の議論があるそうですが、地図を見ると、現在でも津島や長島などの地名の残っている島が多いことが分かり、名古屋周辺は大昔は海であったことが想像できました。
次に、断層の画像を見て、濃尾傾動運動の説明がありました。「濃尾平野の西側において北北西から南南東に走る養老断層を境に、西側の養老山地側が上昇し、東側の濃尾平野側が沈降しています。平野部だけをとりだすと西側ほど沈降し、東側の三河高原側が上昇することで全体が西へ傾く運動となることでこの名があります。この運動は数百年前から始まり現在も続いています。日常の生活では全く分かりませんが、この運動により、平野を流れる木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)が河口に近づくにつれて養老山地側へ偏っていっています。」木曽三川が養老山地側に偏ってく様子を、古市先生が依頼して作ってもらった動画で確認しました。分かれて流れていた三本の川が偏っていく様子がよく分かりました。この木曽三川によって低い土地に運ばれた土砂によって濃尾平野が形成されました。
QR-04
濃尾平野低地の秘密




20230909写真6五つ目の内容は、「楽田小にある楽田城跡 そして青塚古墳と入鹿池と・・・」でした。初めに、どうする家康で紹介された犬山市の映像を見ました。古市先生の勤務している楽田小学校も出てきました。楽田小学校は、小牧長久手の戦いで秀吉が本陣をおいた楽田城があったところです。
次に、楽田小学校の周りを古市先生がドローンで撮影した映像を見ました。南に田が広がっている様子がよく分かりました。楽田小学校の東側を流れている川を地図でさかのぼっていくと上流には入鹿池がありました。入鹿池の様子を、古市先生が池野小学校からドローンで撮影した映像で確認しました。
青塚古墳の様子も、古市先生がドローンで撮影した映像で確認しました。昔から人が住んでいたこと、田をつくるために苦労して水路をつくったことが想像できました。
入鹿池をつくった人は、木津用水もつくっています。木津用水を地図で下流に下っていくと、八田川、庄内川、堀川とつながっていて、名古屋城、熱田神宮、断夫山古墳、七里の渡しの常夜灯を経て名古屋港へ注いでいることを確認できました。
QR-05
ドローン空中映像楽田小学校



QR-06
NHKどうする家康 「紀行潤礼」愛知県犬山市



QR-07
青塚古墳




20230909写真7六つ目の内容は、「我々の未来を考えよう」でした。街道の図等を使って説明がありました。「江戸時代に入ると、5街道である「東海道」と「中山道」を結ぶ、脇街道が整備されました。米がたくさんとれるようになったのも、江戸時代です。犬山は、中山道より木曽の檜を名古屋に送る重要な物流拠点でもありました。鉄道敷設が始まったのが明治時代。神戸と新橋を結ぶ鉄道は、初め中山道を通す計画でした。しかし、神戸から岐阜まで来たところで、計画が変更、名古屋に向けて道が変わり、東海道を通すことになります。その後、JRの中央線にあたる鉄道敷設がはじまります。誘致の結果、現在の通りになったわけですが、岐阜から鵜沼、美濃太田、御嵩とつながる中山道沿いの町はすたれていくのです。その後、中央道ができました。この道は、恵那山トンネルを通り、飯田に抜けます。これにより、もの・人・金の流れは変わっていくのです。しかし、立っている土台は変わりません。木曽川が産んだ、尾張北部。犬山と名古屋を結ぶホットラインは今も変わりません。まもなくリニアが誕生します・・・多分。すると、どんな景色にかわっていくのでしょうか。」
いくつか質問が出されました。
Q「なぜ、東海道におけるこの地域は七里の渡しだったのだろうか」
湿地帯が広がっていて歩けなかったので、海を渡った。
Q「尾張藩のどこに、そのようなポテンシャルがあったのか」
新田開発と木曽の御用林から得られる利益が膨大だった。
Q「木曽川にダムを造りましたが、当初地元と相当もめていたようです。なぜでしょう」
川で運んでいた木曽の檜を運べなくなるから。



20230909写真8七つ目はおまけです。内容は、「GoogleEarthで地球観察」です。GoogleEarthや産総研の日本シームレス地質図を見て、説明がありました。「今回の学習では、川によってできた大地の話をしました。リニアの話をするのであれば、火山によってできた大地の話とプレートによってできた大地の話をすると日本の構造が見えてきます。産総研のシームレス地質図をみると、どこに火成岩があり、どこに堆積岩があるか分かります。火山で火成岩が生まれ、川で堆積岩が生まれます。プレートの動きによって、変成岩や付加体が大地に存在することになります。大地を知ることで、社会の謎が解ける。そんな視点が、未来を創っていくうえで、とても大切になってきます。」



感想を紹介します。
○すごくおもしろかった。まさにブラタモリ。世の中のものは、地学的、地理的、歴史的につながっているということを実感しました。今日紹介された資料や先生からいただいた本をじっくり見せていただいて消化し、少しでも自分のものにしていきたいと思います。おもしろ学校のプレゼンの形としても新しい手法を紹介していただきました。
○昨年初めて高校で地学の授業を担当した教員です。地学の授業をやっていて、地学の知識や考え方を理解すると、地域社会がより深く見えてくると思いました。今回の授業を受けて、先生と考えが一緒でよかったと思い、改めて自分の理科の教育観に自信が持てました。
○歴史と理科のミックス授業+ICTを加えてくださり、固くなった頭でも楽しく学ぶことができました。水は高いところから低いところへ流れる、地理を活かして土地を開拓する先人の知恵を知りました。グーグルアースを使った説明とドローンの映像で理解度が高まって楽しめました。先日初めて関ヶ原に行きました。今度は、楽田城や小牧城等の小牧長久手の戦いの跡を旅してきます。
○VRで水道水の流れを犬山から取材してサイトにしたことがあります。今回の授業を受けてから取材をしていたらもっとおもしろいコンテンツになったと悔しく思っています。すごく楽しく幅広い学びになりました。