【活動報告】令和5年度 第6回おもしろ学校にて

11月10日(金)に令和5年度の第6回のおもしろ学校を行いました。
講師は、扶桑町立扶桑北中学校の岩田泰幸先生です。
算数・数学で、テーマは「学校では教えてくれないワクワク算数・数学の世界」でした。
20231110omoshiroP_01
 
20231110omoshiroP_02
最初に、理系度チェックを行いました。模様にしか見えていなかった図の中に、3本の水色の線を入れると、立方体がはっきり見えてきました。


20231110omoshiroP_03
第1章は、「数学で世界を変えた偉人」の話でした。「宇宙のすべては数学の言葉で書かれている」と言ったガリレオ・ガリレイと「万物は数(数学)なり」と言ったピタゴラスが取り上げられました。地動説や三平方の定理、ピタゴラス音律等の説明がありました。


20231110omoshiroP_04
第2章は、「ちょっとだけ…算数数学ネタを」でした。
最初に「21を言ったら負けゲーム」を行いました。後攻になって、4の倍数を言うようにすると必ず勝てることにすばやく気がついた人もいました。

・2人で遊ぶ。
・1から21までの数字を順番に言い合う。
・一度に言えるのは、連続した3つまで。


20231110omoshiroP_05
次は、日本独特の単位である「尺貫法」の話でした。「九分九厘大丈夫、、、って本当に大丈夫?」という問いが出されました。九分九厘は、9.9%になります。1割にも満たなくて、本当に大丈夫なんだろうかという疑問がわいてきます。尺貫法は、1959年から禁止になり、1966年に完全廃止になります。それにともなって、十分率から百分率が主流になります。十分率なら、九分九厘は100%に近くなります。
尺貫法の名残として、「十中八九」「腹八分目」「五分五分」「十二分に」「七分そで」「一寸の虫に五分の魂」という言葉が、現在でも使われています。
計量法では、取引や証明に尺貫法を用いると50万円以下の罰金になるということを先生から聞いて、参加者は驚いていました。


20231110omoshiroP_06
第3章は、「身の回りの確率を斬ってみよう」でした。
最初は、コインの確率の問題です。
10円玉を1回投げて表が出る確率は? 1/2=0.5(50%)
10円玉を2回投げて2回とも表が出る確率は
1/2×1/2=1/4=0.25(25%)
次は、サイコロの確率の問題です。
1回投げて1が出る確率は?       1/6
2回投げて2回とも1が出る確率は?  1/6×1/6=1/36
3番目は、宝くじの確率の問題です。
ジャンボ宝くじで、1等が出る確率は?
組数は100組、数字は10万個あるので、確率は、1000万分の1(0.00001%)
※コインの確率で考えると、23回連続で表が出る確率になる。
※サイコロの確率で考えると、9回連続で1が出る確率になる。
※東京ディズニーリゾート全体で考えると、新聞紙の広さのところへダーツを投げる確率になる。
1年間に、隕石の落下で死亡する確率は0.0004%、雷に打たれる確率は0.0001%、飛行機の墜落事故にあう確率は0.003%になります。宝くじの当たる確率は、これらよりも低い0.00001%ですが、それでも宝くじを買いますかと問われて、夢を買うので、やっぱりまた買いますという人が何人かいました。


20231110omoshiroP_07
4番目の問題は、クラスに同じ誕生日の人がいる確率です。
たった2人のクラスだったら、1/365(約0.27%)になります。
たった3人のクラスだったら、
1-(364/365×363/365)=0.0082(0.82%)になります。
10人のクラスでは11.69%、20人では41.14%、30人では70.63%、40人では89.12%
50人では97.04%、60人では99.41%になります。
参加者の誕生日を調べましたが、残念ながら同じ誕生日の人はいませんでした。

5番目の問題は、降水確率でした。
降水確率とは?「これまで貯めた気象統計データをもとにして、同じような天気(気圧配置、気象条件など)の日を100回分集めて、そのうち1ミリ以上の雨が、約30回降っていたとき、降水確率は30%とする。」
「あなたは、何%以上の降水確率で傘を持っていきますか」という問いが出されました。
「30%かな」「少しくらいぬれてもいいので60%」「いつも鞄に傘を入れています」等の意見が出されました。
先生から、最近多くの企業でも使われている「コスト・ロスモデル」で考えるとよいことを教えていただきました。
コスト(労力)/ロス(損失・リスク)


20231110omoshiroP_08
第4章は、「ミツバチは数学クリエーター」でした。
ハチの巣は、六角形が隙間なく並べられています。平面を隙間なく敷き詰めることができるのは、三角形・四角形・六角形しかないことは、古代ギリシアのピタゴラスによって証明されています。なぜハチの巣は六角形なのでしょうか?壁を作るための蜜蝋の量が一番節約できること、強度の観点で考えると三角形が最も優れていますが、衝撃吸収性は六角形が最も優れていること等が考えられます。
六角形が並んだハチの巣の構造は、ハニカム構造と呼ばれています。ハニカム構造は、飛行機の翼、電車の自動扉、建築材料等に使われています。次世代炭素素材のカーボンナノチューブにも使われています。


20231110omoshiroP_09
第5章は、「表→裏→表→裏・・・メビウスリングを作ってみよう」でした。
真ん中に1本の線の引かれた紙を1回ひねってつないだもの、2本の線が引かれた紙を1回ひねってつないだもの、1本の線が引かれた紙で十字架を作り、2枚ともひねってつないだものを線に沿って切っていきました。参加者は夢中になって取り組み、十字架メビウスを切ってハートの形が現れた時は、歓声をあげていました。


20231110omoshiroP_10
感想を紹介します。
○あっという間の90分間でした。算数でつまずく児童、数学が嫌いになる生徒は、「正解しないといけない」「ミスが許されない」そんな難しさがハードルとなっていると思います。今日の授業では、そういうことが求められませんでした。生活の中、身の回りの中に算数・数学は隠れていて、そんな神秘の一部分を感じさせていただけたことが算数・数学のおもしろさに繋がっていたように思います。

○人生で一度も「数学が得意です!」と言えたことがないのですが、数の美しさの一部に少しだけ触れることができた気がします。「九分九厘」はまさに99.9%の意味で使っていましたので、言葉の意味と数の実について、また考えてみるきっかけになりました。先生の数学はとてもおもしろくて、数学のハードルをぐっと下げていただきました。

○めっちゃおもしろかった。腹八分目の十分率が一番の驚きでした。ハニカム構造も良かったです。宝くじの確率もすごかった!私は宝くじではなくて馬券を買います。数学と言いながら、全く難しさを感じさせない、身近な話題で「生活は数学だ!」を実感しました。今日教えていただいたコスト・ロスモデルを調べてみます。

○数学という日常生活にはあまり関係がない印象でしたが。尺貫法や宝くじの確率、同じ誕生日になる確率、降水確率、ミツバチの巣のハニカム構造、メビウスの輪等、身の回りにたくさん数学が息づいているのを感じました。21を言ったら負けゲームは、簡単でおもしろいので、子どもに試してみようと思います。

○メビウスの輪での体験活動はとても楽しいものでした。ハニカム構造が省エネ構造だということを知らなかったのでびっくりしました。勉強できる楽しさを改めて感じた「おもしろ学校」でした。